GREEN GREETINGS|自分でつくる、まちの交縁(コウエン)
2024.11.25
2024年7月、ACKTの新しいプログラム「GREEN GREETINGS」が始まりました。
JR南武線「谷保駅」南口にある小さな公園「谷保駅南口緑地」で取り組むプロジェクトです。ここは、ACKTの拠点「さえき洋品●(てん)」の斜向かいに位置しています。
古くからの国立の資源が広がる谷保エリア
「国立市」といえば、JR中央線国立駅を玄関口として、新しい公共施設である「旧国立駅舎」や、一橋大学などを有する「国立大学町」エリアのイメージが一般的です。しかし、メインストリートである大学通りを南下していくと、東西に広がる富士見台団地や、国立市の公共施設が集積する富士見台エリア、JR南武線を越えたさらに南側には、古くからの営みが続く谷保エリアがあり、実は国立市の長い歴史の中心にあるのは、これらの地域なのです。
冒頭に挙げた谷保駅南口緑地は、谷保駅を起点としてみたときに、この谷保エリアの玄関口のような位置付けと捉えることができます。近くには甲州街道が走り、谷保天満宮や旧本田家住宅など、国立市の歴史を語る上で欠かせない資源があり、谷保エリアには多くの魅力があります。
しかし谷保駅南口緑地を観察していると、駅前にも関わらずあまり利用されている気配がなく、また谷保天満宮などへのアクセスを示す看板がないことからも、立ち寄りづらい、もしくは国立市民にも知られていない公園となっていました。
自分たちでつくる、まちの交縁(コウエン)
「GREEN GREETINGS」では、谷保駅南口緑地の玄関口としての機能や可能性に着目しています。
公園内の樹木や草花などの植物を、集まった人たちで一緒に考えながら手入れしていく過程を通じて、参加者同士の対話を生み、縁をつなぎながら、まちの縁側のような交流拠点として、この公園を活用していくプログラムとしてスタートしました。
公園の緑を扱うプログラムとなるため、国立市を中心に活動するコミュニティガーデナーの長阪雅子さんにご協力いただき、谷保南口緑地での緑のお手入れの方針について事前に検討、月に1、2回、午前中の3時間をつかい、少しずつ手入れする場所を広げていくことになりました。
暑い日差しのなかで行った初回の活動
初回の活動日は2024年7月16日。事前申込制にしたところ、10名以上の方にお集まりいただきました。谷保南口緑地を気にかけていたという、近所にお住まいの方や、近隣の方だけでなく、杉並区、東京にたまたま訪れていた秋田の学生さんまで、さまざまな方が集まりました。
まずは「さえき洋品●(てん)」にて、ACKTやGREEN GREETINGSの概要について簡単に紹介した後、斜向かいにある谷保南口緑地へ移動。汗ばむ陽射しを浴びながら、各々がスコップやシャベルなどを手に持ち、作業をはじめました。
手入れをする上で不要な草などを抜いたり、刈ったり。普段は「公園の緑」としてざっくりとしか見ていなかった空間に、さまざまな種類の植物が存在することに気づき、「この球根はなんですか?」「この木は根っこから抜けるかな」「ヤブガラシは植物に絡まって枯らしちゃうからできれば根こそぎ抜いて」……長阪さんを中心に色んな会話を楽しみながら、休憩を挟みつつ作業を進めていきました。
一部の植物は移植して水を与え、なぜか大量に出てきた茗荷(ミョウガ)は綺麗に洗い、みんなで分けて持って帰りました。短時間の作業の中で、谷保南口緑地が少し身近な場になっていったようです。
当然のことながら、暑い時期に開始したこともあり、体力の消耗はそれなりのこと。7月後半から9月にかけては、無理なく作業するために気温の落ち着いている朝8時からのスタートにすることにし、この日は解散となりました。
この作業を通じて、参加者からは「緑を通じた近所の方との交流が楽しかった」という声や、「今後の公園の変化が楽しみ」という声も上がり、GREEN GREETINGS第1回目はこれからの活動の広がりに希望を持つスタートになりました。
text, photo : Kensuke Kato